2011年12月12日

新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた論点整理(案)

新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた論点整理(案)
     http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/6th.htm
  平成23年12月6日
総合資源エネルギー調査会
基本問題委員会
本委員会では、東日本大震災及び福島第一原子力発電所における事故の反省を踏まえ、昨年6月に改定した現行のエネルギー基本計画をゼロベースで見直し、新たなベストミックスとその実現のための方策を含む新しい計画についての議論に本年10月から着手した。
これまでの議論においては、別添に示したような幅広い意見が出されたところであるが、以下に掲げた事項に関しては概ね共通の認識が得られたと考えられる。
  
1. エネルギー基本計画見直しに求められる視点
エネルギー政策は大きな転換点を迎えている。東日本大震災と福島第一原子力発電所における事故を発端として、原子力の安全性に対する国民の信頼は大きく損なわれ、電力をはじめとするエネルギーの供給システムの脆弱性や歪みが露呈した。
今後のエネルギー政策は、「国民の安全の確保」を最優先とした上で、以下の視点をより重視して推進しなければならない。
@ 「需要サイド」を重視したエネルギー政策
これまでのエネルギー政策は、安定供給や供給能力の確保を優先し、需要を制御する視点が十分ではなかった。今後は、需要家に電源等の「選択肢」や省エネ・節電等の適切なインセンティブを与えることを通じて需要構造自体を大きく変え、デマンドサイドから供給構造をも改革する方向を目指すべきである。
A「生活者」と「地域」を重視したエネルギー政策
「生活者」や「地域」は、「創エネ」や「尐エネ」(エネルギー消費の絶対量の削減)等に主体的に参加することにより、エネルギーの需給構造を大きく変える力を持っている。生活者の多様なニーズに応えるとともに、地域の特性に応じた未利用エネルギーの活用を通じて地域活性化にも資するような施策の拡充が必要である。
B国力を支えるエネルギー政策
雇用や暮らしを支え、国力の基盤となっているのは産業経済活動であり、「製造業立国」、「貿易立国」たる我が国の産業競争力を維持・強化していくためには、エネルギー安全保障を確保し、安定的かつ低廉なエネルギーを供給することが不可欠である。また、資源・環境制約の克服というグローバル課題の解決や我が国の成長戦略にも資するという観点から、技術開発の強化を含めた強靱なエネルギー政策が必要である。
C多様な電源・エネルギー源を活用するエネルギー政策
今回の震災により明らかになった大規模集中型の電力システムの脆弱性を克服するため、需要家や地域の特性も踏まえた多様な電源を活用し、安心と安全を実現するとともに、電力に加えて熱、ガス、水素、バイオ等のエネルギー源をも適切に組み合わせ、市場全体で効率的利用を図ることが重要である。

2.望ましいベストミックス及びエネルギー政策の改革の方向性
(1)望ましいベストミックス
(基本的方向性)
本来、ベストミックスは、需要家の選択の結果として実現されるものであり、国の役割はそれが可能となるような社会制度を構築することである。しかしながら、エネルギーは国民の安全、暮らしや経済の安定、環境保全などの公益的価値と深く関わり、これらを適切に織り込んだ社会制度の実現は直ちには困難であるため、一定のあるべき姿を国民と共有することが求められる。
昨年6月に策定したエネルギー基本計画においては、2030年に電源構成の過半を原子力に依存するとしていた。震災・原発事故を踏まえ、こうしたエネルギー構成のあり方は抜本的に見直す必要がある。その際の方向性として、
@ 需要家の行動様式や社会インフラの変革をも視野に入れ、省エネルギー・節電対策を抜本的に強化すること
A 再生可能エネルギーの開発・利用を最大限加速化させること
B 天然ガスシフトを始め、環境負荷に最大限配慮しながら、化石燃料を有効活用すること(化石燃料のクリーン利用)
C その上で、原子力発電への依存度をできる限り低減させること
を基本として、今後議論を深めていくことについては概ね見解の一致を得たと考えられる。
(中長期的な原子力発電の位置づけ)
本年7月にエネルギー・環境会議において策定された「『革新的エネルギー・環境戦略』策定に向けた中間的な整理」には、戦略の基本理念として、「『反原発』と『原発推進』の二項対立を乗り越えた国民的議論を展開する」ことが掲げられており、本委員会においてもその理念に沿って、エネルギーの全体構成の中で原子力発電をどのように扱うかについて検討を進めてきた。今般のエネルギー政策見直しの契機となった原子力発電についてはその中長期的な位置づけを巡って様々な意見が提起された。
我が国が直面する地震や津波のリスク、事故が起きた時の甚大なコストや苦しみ、地域経済の崩壊や環境への被害、不十分な安全管理技術や老朽化によるリスク、国民の暮らしの安心と安全、未解決で後世に負担を先送りかねない放射性廃棄物の処分問題、国民の多くの声などを踏まえ、できるだけ早期に撤退すべきとの意見が少なくなかった。
一方で、原子力政策は抜本的見直しが必要であるものの、原子力平和利用国としての国際的責任を果たすための技術基盤と専門人材の維持、さらには技術とともに進化してきた人類としての文明史的自覚の観点から、やはり戦略的判断として一定比重維持すべきという意見も出た。資源小国の日本としてエネルギーの選択肢を安易に放棄してよいのかという問題提起もあった。
いずれにしても、我が国の将来を真剣に考えた建設的な議論を今後も進めていく。
(客観的、総合的かつ時間軸を踏まえた議論の必要性)
全てのエネルギー源には長所と短所があり、完璧なエネルギーは存在しない。ベストミックス及びそれに至るシナリオを考えるにあたっては、原子力の抱えるリスクやコスト、安全性確保の度合いはもとより、エネルギー構成全体について、暮らし・経済・雇用への影響、エネルギー安全保障や地球温暖化への影響、国際的な動向などを勘案し、客観的なデータに基づく総合的かつ時間軸を踏まえた検討が必要である。また、現在は状況が激変した局面であることや、技術進歩、資源価格などの将来の不確実性が存在することを踏まえ、幅を持った想定や定期的な見直しを行うことが重要である。なお、ベストミックスを定量的に示す場合には、その性格(コミットメント、努力目標、想定等)を明らかにしておく必要がある。
(2)エネルギー政策の改革の方向性
エネルギー基本計画の見直しにあたり提起された視点を踏まえ、今回の震災で明らかになった脆弱性を克服するとともに、あるべきベストミックスを効果的に実現するためには、需要と供給の両面について、現行のエネルギー政策の抜本的な改革が必要である。各側面について概ね共通の認識が得られたのは、以下の点である。
@ 最先端の省エネ社会の実現 〜需要構造の改革〜
これまでのエネルギー政策は、供給能力の確保を優先し、「需要を所与」のものとしてとらえ、ともするとこれを効果的に管理・制御する視点に欠けていた。また、これまでの省エネルギー対策はエネルギーの使用総量の抑制に力点をおいてきたが、今後の電力需給の状況に鑑みると、使用最大時の電力需要の抑制(ピークカット)の視点が重要である。さらに、産業サイドの更なる努力に加え、省エネ余地の大きい民生部門については、より踏み込んだ対応が必要である。
こうした観点から、ピークカットという視点を盛り込んだ省エネ政策の強化、スマートメーターの早期普及、需給状況に応じた柔軟な料金体系の構築や分散型のスマートコミュニティの形成等が重要である。民生分野については、HEMS・BEMSによる見える化の促進も含め、消費者へのきめ細かな情報・ノウハウの提供等により、ワークスタイルやライフスタイルの変革を促していくとともに、断熱性能の向上した建材や住宅・ビルの普及を図る必要がある。こうして我が国の技術力の粋を結集し、世界最先端の省エネ社会のモデルを構築するとともに、これを積極的に海外に展開普及させていくことが重要である。
A 分散型の次世代エネルギーシステムへの移行 〜供給構造の改革〜
大規模集中電源に大きく依存した現行の電力システムの限界が明らかになったことを踏まえ、今後は、需要家への多様な選択肢の提供と、多様な供給力(再生可能エネルギー、コジェネ、自家発電等)の最大活用によって、リスク分散と効率性を確保する分散型の次世代システムに移行していく必要がある。また、こうした分散型のシステムを盤石にするためにも、送配電ネットワークの強化・広域化や送電部門の中立性の確保が重要な課題である。
また、電力システムに加え、多様なエネルギー源を最大効率で活用しうる社会基盤を整備することも重要である。このため、街区における未利用熱の活用・融通、天然ガスの国内供給網の拡充、災害にも強い石油製品の供給体制の構築などが必要である。これらの前提として、資源の安定的な確保のための取組も一層強化する必要がある。
さらには、リスク分散の観点から、電力や天然ガスの国際的ネットワーク構築
についても中長期的な選択肢として視野に入れることが重要であろう。
(3)ベストミックス実現とエネルギー需給構造改革を支える技術革新の重要性
我が国として、国民の安全、エネルギー安全保障等を確保しつつ、上記に掲げたエネルギーミックスの転換や需給構造の改革を実現するためには、全てのエネルギー源を最も効率的、安定的に活用できる世界最先端のエネルギー技術を維持・強化していくことが重要な鍵を握っている。このため、技術革新の加速化に官民を挙げた取組が必要である。

3.今後検証すべき事項と当面の進め方
本委員会としては、2.(1)で示した考え方に沿って、来春を目途としてベストミックスの選択肢を提示し、来夏を目途に策定される新しいエネルギー基本計画に検討の成果を反映させることを目指す。このため、当面は、原子力発電への依存度低減の代替となる「省エネルギー・節電対策の抜本的強化」、「再生可能エネルギーの開発・普及の最大限の加速化」及び「化石燃料のクリーン利用」の各々の具体的なシナリオについて集中的な検討を行う。その際には、短・中・長期の時間軸を意識し、克服すべき制度的・技術的な課題、リスクとコスト、諸外国の成功例や失敗例、必要な政策措置等について、一定のマクロ経済フレームを前提としつつ、検証を行う。
中長期的な原子力発電の位置づけに関しては、事故原因、安全規制・体制、コストに係る検討状況、使用済燃料処理や高レベル放射性廃棄物処分を巡る現状やリスク制御の可能性等について、事故調査・検証委員会や原子力委員会等で専門的に検討された内容を踏まえ、総合的に検討する。
以上の検討に必要な場合には、関係事業者・団体、地方公共団体、技術的知見を有する者等から意見を聴く場を設けるものとする。国民との双方向のコミュニケーションを強化するため、効果的な国民的な議論の方法についても引き続き検討する。


別添
論点毎の主な意見

1.エネルギー基本計画見直しに求められる視点
(国民の安全の確保)
 ・原子力発電所の事故が招いた被害や被災者の苦しみを真摯に受け止め、「安全の確保」をエネルギー政策の基本として位置付けるべきである。
(「需要サイド」を重視したエネルギー政策)
 ・これまでのエネルギー政策は、あまりに安定供給を強調し、結果として既存の供給者を保護し、利用者の便益や国民の経済厚生を最優先してこなかった。利用者である国民の経済厚生に資する観点から、エネルギー政策を見直すべきである。
 ・需要を所与のものとして、供給能力だけを確保しようとするとリスクが大きくなる。こうした仕組み自体の脆弱性が問われている。国民による電源やエネルギーシステムの選択権を拡大し、供給側に偏ったエネルギー政策から転換し、節電・省エネへの投資を促し、エネルギー効率を抜本的に向上させる方向を目指すべきである。
・ 需要ありきでなく、現状の需要が本当に合理的に使われているのか徹底的に見極めるべきであり、供給の在り方は需要サイドに応じて考えていく必要がある。
・ 一人一人の消費者の選択の結果として、エネルギーのベストミックスが実現できる制度設計こそが重要である。
・ 省エネ、エネルギーベストミックス、成長戦略、低炭素化のいずれの視点からも、今後は需要側の資源(デマンドレスポンス、自家発、コジェネ、エネルギー貯蔵装置等)の活用が重要になる。
(「生活者」と「地域」を重視したエネルギー政策)
・ 「生活者」は、「尐エネ」(エネルギー使用の絶対量の削減)と「創エネ」により、エネルギーに対して大きな貢献ができる。この道筋や必要な手立てをエネルギー基本計画に入れる必要がある。生活者の声にも耳を傾け、必要な情報を提供する双方向(two way)での政策づくりが重要である。
・ 地域がその特性に応じて未利用のエネルギー資源を主体的に活用し、「地域活性化」につなげていくことを促すエネルギー政策が重要である。
・ 省エネルギーや再生可能エネルギーの推進には、国民の参加が不可欠であり、分かりやすい情報公開により、国民の主体的な参加を促すことが重要である。
・ 様々な主体が覚悟を持って、エネルギー自立型地域づくりを通じた日本再生、電力の約7割を消費する家庭・業務部門による省エネの徹底や再生可能エネルギー供給への参画、原子力の安全な活用と天然ガスへの燃料転換、地域エネルギーのポテンシャルの徹底活用等に取り組むことが重要である。
・ 国や事業者と消費者との間には「情報・知識の壁」が存在する。消費者が関心を寄せないから説明が不要と考えるのではなく、説明が足りないから関心を持てないと考えるべきである。消費者側のリテラシー向上のため、学校教育を含めた人材育成や科学技術コミュニケーションができる翻訳者的な人材の養成が重要である。
(国力を支えるエネルギー政策)
・ 強靭な産業経済国家として日本をどのようにしようとしているのかという思想的な確認が重要であり、日本の競争力ある産業国家としての輪郭をしっかり描きながら、同時にエネルギー体系をより理念的に目指すべき方向に向けていくべきである。
・ 雇用や暮らしを支える産業活動のためには、電力を国際競争力のある価格で中長期的に安定供給できる体制の整備が必要である。「製造業立国」、「貿易立国」、「科学技術立国」という国の存立基盤を直視する必要がある。
・ 産業の空洞化や雇用の喪失を回避し、グリーンジョブの創出とグリーンイノベーションに繋げていく必要がある。
・ エネルギーインフラ産業は重要な輸出産業であり、アジアの健全な発達に貢献する産業である。途上国の日本の省エネ、原子力安全、化石燃料へのクリーン利用等への期待は大きい。
・ 革新的エネルギーシステムや新エネ市場を成長戦略に活用する具体策が重要である。
・ 再生可能エネルギーによる国際貢献を模索すべきである。
(多様な電源・エネルギー源を活用するエネルギー政策)
・ 震災により、大規模集中型電源への依存にはリスクがあり、多様な電源(再生可能エネルギー、自家発、コジェネ等)を活用することが安全、安定に資することが明らかとなった。
・ 災害時にも使えるように、一つのエネルギー源に頼るのではなく、分散化・多様化したエネルギー源を持つことが重要である。
・ 電力に、熱、ガス、水素(燃料電池)、バイオ、GTL等を適切に組み合わせて、エネルギー市場全体での効率的利用を目指す社会を目指す必要がある。

2.望ましいベストミックス
(市場の制度設計の重要性)
・ ベストミックスは最終的には市場において事業者が選択すべきものであり、政府の役割は、事業によって発生する費用を、外部費用(停電、CO2、放射線等)を含めて、事業者に負担させるよう制度設計(税、賠償保険等)することである。
・ 現行の制度の下では、エネルギー安全保障などの外部経済は、市場に全て織り込むことは困難である。市場制度改革も一朝一夕にはできないため、当面は政府主導でベストミックスの具体的な絵を描くことが重要である。その場合には、省エネ、再生可能エネルギー導入、ガスシフトの順で考え、三つを上手く組み合わせることが重要である。
(国民の安全性やリスクの視点)
・ 原発事故によって明らかになった甚大で受入れ難いリスクやコストを踏まえたシナリオ(原子力からの早期撤退)が必要である。
・ 安全は、技術、規制体制、国・地方・事業者の責任分担等の総合力の反映であり、今回の事故を踏まえ、リスクマネジメントを再構築する礎とすべきである。
・ リスクの正確な把握と、合理的なリスク対策が必要である。また、リスクを評価し、政策を立案・評価するプロフェッショナルへの信頼を得ることが重要であり、公衆の意見が理解、尊重され、意思決定者に考慮されていることを明確に示すべきである。さらに、大規模災害時にはリスク認知バイアスが生じ得ることを踏まえて対応すべきである。
・ 専門家の信頼の喪失が大きな問題であり、専門家だけでなく一般市民の知見も活用し、判断することが重要である。
・ 国民・住民に対し徹底して情報を公開し、絶対安全があり得ないことを前提としたリスクコミュニケーションが重要である。
(暮らし・経済・雇用への影響の視点)
・ GDPや雇用等のマクロ経済への影響を評価する必要がある。
・ 産業の空洞化や雇用の喪失を回避し、グリーンジョブの創出とグリーンイノベーションに繋げていく必要がある。
・ 「六重苦」(円高、高い法人実効税率、自由貿易協定への対応の遅れ、厳しい労働規制、地球温暖化ガスの削減目標、電力の不足・高コスト)により加速しつつある製造業の海外シフトを食い止める政策を考えなければ、産業空洞化が進展し、消費者の生活を脅かすことになる。
(エネルギー安全保障の視点)
・ G8の中でもエネルギー自給率が最低レベルにあり、価値観を共有する国々とのエネルギーネットワークを確立する状況に至っていない我が国としては、自主開発エネルギー比率の向上、国産エネルギー(再エネ)、準国産エネルギー(原子力)技術の維持確保・充実、産消対話を通じた適切な投資や価格安定化の促進、大消費国との連携による価格交渉力の確保、省エネの強化、国際的なエネルギー供給・協力網の整備等、あらゆる対応を行うべきである。
・ これまでの経験が示すとおり、エネルギーにかかる世界情勢や技術は日々変動するものであり、エネルギーの選択肢を減らすことなく、都度、状況に応じた最適解を見つけていく姿勢と努力が重要である。エネルギー権益を世界の各地に分散して保有することと、国内で確保できるエネルギー源と原発を中心とした国内備蓄可能量をもって、相当程度のエネルギーを確保することが戦略的に重要である。
・ 各エネルギー源はそれぞれ価格上昇抑制力を有しており、我が国のエネルギー戦略として、原子力を含めた一次エネルギー源の選択肢を減らさないことが重要である。
・ 中東や北アフリカ情勢の流動化、米国の影響力の相対的な低下等により、供給上の地政学リスクは上昇しており、需要面では新興国の台頭により資源獲得競争が激化しているなど、ジオポリティカルな検討を深化させる必要がある。
・ エネルギー安全保障については、資源調達、価格交渉力、電力の質の維持、非常時対応など対応すべき脅威を整理した議論が必要である。
・ 価格の変動に対しては事業者が多様化を行う動機を持っていることや石油危機当時と比べて天然ガスという代替選択肢が広がっていることから、長い目で見ればかつてのエネルギーセキュリティの問題はかなり減ったのではないか。
・ 「多様化」等のエネルギー安全保障上の価値は国防に匹敵しており、これを市場に内部化するのは困難ではないか。
(地球温暖化対策の視点)
・ 我が国のCO2排出量は世界の4%に過ぎず、温暖化対策においては、削減コストの安い海外における貢献(省エネ技術や高効率石炭火力の普及等)を重視すべきである。
・ 地球温暖化対策とエネルギー基本計画とは整合的なものとすべきである。
・ 最小の費用で国内の発電所が排出するCO2の削減量を最大化するためには、炭素税を導入することが基本的な対策である。炭素税導入と同時に法人税減税を行えば、産業が衰退するとの問題も無くなるのではないか。
・ 米国や中国が炭素税を導入していない現実を踏まえ、炭素税の導入には、産業の国際的な競争条件を損なわないように留意すべきである。
・ 人類共通の課題である地球温暖化問題への対応は重要な課題であり、我が国が掲げた長期的な国際公約(2050年の温室効果ガス8割削減)や現行の基本計画の目標(2030年までにゼロエミッション電源を7割とする等)は実現する方向で考えるべきである。
・ 2020年までに温室効果ガスを25%削減するとの中期目標は実体的な意味を喪失しており、見直しは不可避ではないか。国別総量方式の行き詰まりを踏まえ、「国際連帯税」の導入などポスト京都議定書への新たな構想が必要ではないか。
(客観的、総合的かつ時間軸を踏まえた検討)
・ 総合的、合理的、客観的なデータに基づく冷静な議論の下で、安全・安心、エネルギー安全保障を含む安定供給、コスト、経済性、環境の視点から検討を行う必要がある。
・ S(安全性)、3E(エネルギー安全保障、経済性(特にコスト)、地球温暖化対策への適合性)、M(マクロ経済へのインパクト)について客観的・定量的分析が必要。総合的視点から見ると、完璧なエネルギーは存在しない。@より快適な省エネルギー、Aより低コストの再生可能エネルギー、Bよりクリーンな化石燃料、Cより安全な原子力の4つをバランス良く組み合わせることが望ましい。
・ エネルギー源にはそれぞれ長所・短所があるからこそ、ベストミックスをどのように考えるのかが問われているのではないか。
・ 再生可能エネルギーの早期拡大、安全性に配慮した原子力発電の運転、高効率火力の活用等により、エネルギー自給率の向上と地球温暖化対策を共に推進することが重要である。
・ 短期、中期、長期と期間を区分して計画を見直すべきである。
・ 原発の受容の可否、化石燃料の需給・価格の動向、再エネのコスト、技術革新などは大きな不確実性を有するため、幅を持った予測と柔軟な政策対応が必要である。
・ 定量的な議論をする際には、個々の数字が意味するもの(コミットメント、努力目標、期待・予想・想定、希望的観測等)を明らかにすべきであり、コミットメント(強い拘束力を持つ数字)は必要不可欠なものに限定すべきである。

3.省エネルギー・節電対策について
(民生部門の対策)
・ 民生部門(家庭・業務)は、震災を踏まえ節電意識が高まっており、省エネの余地も大きい。
・ 電力使用量の7割程度を占める民生部門において、日々の暮らしや仕事の仕方、地域や都市の在り様などを見直し、省エネを徹底して、需要を抑える努力をすることが重要である。
・ 効率性向上のみならず、無理のない節電等によるエネルギーの総量削減(尐エネ)や需要家の選択肢の拡大を進める視点がこれまで以上に重要である。
・ 省エネ型のライフスタイルやワークスタイルへの転換など行動変化を促す施策を充実させるべきである。
・ 民生部門に重点を置くべきであり、住宅・建築物における省エネ基準の義務化、対象拡大やゼロエネルギーのビルや住宅の開発・普及が重要である。
・ 消費者への分かりやすい情報提供が重要である。エネルギー供給事業者がスマートメーターを活用した情報提供や専門的助言などに関与する仕組みを検討する必要がある。
(産業・運輸部門の対策)
・ 世界最高水準の省エネ技術が我が国産業のコア・コンピタンスであるが、産業部門の省エネは80年代以降停滞している。過大評価を避け、高効率モーターの導入(産業部門)や燃費規制の強化(運輸部門)により、一層の深堀りが必要である。
・ エネルギー(電力)の高効率利用技術導入による飛躍的な省エネ・省電力の推進が重要である。
(部門横断的な対策)
・ エネルギーマネジメント、エネルギー融通、エネルギー負荷平準化により、個の省エネからシステムとしての省エネの推進に転換すべきである。使用電力量(kWh)のみならず、ピーク電力量(kW)の削減をも促進する方向で省エネ法は見直す必要がある。排熱の利用など熱の有効利用も重要であり、熱の広域融通法を検討すべきである。
・ 需要側と情報連携したスマートなエネルギーシステムを構築すべきである。例えば、分散型コジェネ、電気自動車の蓄電池、給湯器の貯湯槽などの需要側にあるエネルギー機器を、情報ネットワークを通じて、エネルギーの需要制御に活用すべき。また、建物、都市構造など高効率エネルギー利用のインフラ形成が重要である。
・ 需要の制御のためには、価格メカニズムの活用が重要であり、そのための社会基盤としてスマートメーターの早期の普及が不可欠である。
・ 生産性、快適さ、利便性等を損なうことなく、経済の成長を維持しながら省エネを従来以上に推進すべきである。家電・空調設備・産業設備等のハード面の省エネ化、HEMS、BEMSといった統合システムの導入・強化や時間帯別電気料金の設定等の制度面の対応が必要である。
・ 諸外国と比べて遅れている需要構造に関する統計データの整備が急務である。
・ 今後、エネルギー需要が増大する発展途上国に対する支援・協力において、需要側の対策(省エネ)を重視し、アジア・世界に貢献すべきである。

4.再生可能エネルギーの導入拡大について
・ 国産資源というエネルギー安全保障上の価値を再評価し、再生可能エネルギーのウェイトをできるだけ早期に大きく高めるべきである。
・ 再生可能エネルギーごとの技術的・制度的ネックを個別に克服することが重要である。
・ 個性豊かなエネルギー自立型地域を目指し、地域の住民や事業者の参加の下、地域の再生可能エネルギーのポテンシャルを活用して、地域活性化にいかしていく視点が必要である。単にコストがかかるからということではなく、地域活性化につないでいくという視点で、その費用を出し合う社会にしていくことが重要である。
・ 再生可能エネルギー電源間でも公正な競争が必要である。送電投資など本来特定の電源が負うべき費用を安易に第三者に付けを回すべきでない。
・ 再生可能エネルギーの全量買取制度を効果的に運用し、導入量を大きく高めていく必要がある。
・ EVを含む蓄電池のオプションを推進することは産業戦略上も重要である。
・ 系統全体で変動を吸収することにより、社会全体でコストを最小化させる可能性を最大限模索すべきである。
・ コスト上昇を回避するためには、競争阻害行為が起きないような電力市場の設計、自然公園、温泉、漁業権等に関する立地規制の改革を含め、抜本的な制度改革を並行して進める必要がある。
・ 再生可能エネルギーの最大活用を可能とするスマートメーターの装着、スマートハウス、スマートコミュニティの早期実現が重要である。
・ 消費者負担を抑制する観点から、エネルギーに関わる税制(電源開発促進税等)の改革も含め、再生可能エネルギーへの予算の重点配分が必要である。
・ 自然エネルギーは人類史上の「第4の革命」であり、その拡大は最大の経済の牽引力にもなる。長期的には自然エネルギーの導入コストよりも化石燃料依存から回避するメリットの方が大きいのではないか。
・ 短期的には、経済性、出力の不安定性、地理的な制約などから、基幹エネルギーとはなり得ないため、過度な期待はせず、現実的な導入目標を立てるべきである。中長期的には、将来的に我が国の基幹電源の役割を担えるように、高性能化、コスト低減、あるいは蓄電池を含めた系統安定化のための技術革新を推進すべきである。

5.化石燃料の有効活用と資源確保について
・ 原発と再生可能エネルギーが注目されるが、エネルギー政策の焦点は火力発電であり、化石燃料の安価かつ安定的な確保と地球温暖化防止の新たな枠組みの構築が重要である。
・ 持続可能性(温暖化のリスク、膨大な輸入費用)の観点からは、脱化石燃料を目指すべきである。
・ CO2排出が低く、資源も偏在していない天然ガスへのシフト(高効率ガス火力発電、コジェネ、天然ガスへの燃料転換等)の推進が重要であり、そのためのLNGの安定調達や国内のパイプライン網の整備が重要である。
・ エネルギーの安定調達は常にチャレンジングであり、LNGの開発には長期間を要し、常に安定的な量と価格で確保できる保証はないということを認識すべきである。
・ 我が国がこれまで蓄積してきた優れた石炭火力技術は重要であり、クリーンコール技術やCCS等の技術開発を進め、将来的には石炭のゼロエミ化を目指すべきである。
・ 国家の重要課題であるエネルギーの安定確保のため、石油、天然ガス、石炭等のエネルギー権益を世界各地で確保していくことが重要であり、資源国との友好関係を強化し、制度金融を維持・強化するなど、国を挙げて権益確保を全面的に後押しする姿勢と施策が強く求められる。
・ メタンハイドレードやシェールガス等の非在来型天然ガスや水素利用の拡大の潜在可能性は大きく、中長期的な視点から研究開発等を推進すべきである。
・ 震災の経験を踏まえ、石油製品やLPガスの非常時の安定供給体制の構築も重要な課題である。

6.原子力発電について
(1) 原子力発電の中長期的な位置づけについて
(原子力からのできるだけ早い撤退)
・ 福島の大事故、既存原子力発電所の老朽化や地震の頻発などによるリスクの増大、新増設の困難さ、未解決な放射性廃棄物の処分の問題、地域コミュニティーにもたらす対立、国民世論などを踏まえるならば、できる限り早い時期に、原子力発電に依存しない、原子力発電ゼロの社会の実現を目指すべきである。これを無視してなおも原発推進を図ることは、民主主義の否定であり、国際的な信頼を失うことになる。
・ 被ばくした一人ひとりの悲しみや痛み、将来の健康影響、地域経済の崩壊、農林水産業・観光・工業等への甚大な被害、今の技術で封じ込めることが困難な高レベル放射性廃棄物の問題等を考えれば、中長期的には原子力から撤退すべきである。
・ 被害者の立場で考えるべきであり、万を超える多大な被害者、長期に及ぶ地域の崩壊、というかつてない環境被害を考えると、事故は二度と起こしてはならない。原子力関連に使われてきた様々な予算や電力会社からなされる多額の寄付金、事故の巨大なリスクを勘案すれば、長期的に考えると原発をやめるコストよりも、得られるベネフィットの方が大きい。
・ 今回の事故により、多くの人が考えていたほど原発の社会的費用が小さくなく、非常事態の際に、民間の電力会社だけでは対応できないことも明らかになった。また、実際問題として、新規の原発設置や原子炉の耐用年数の延長が困難な中、一定期間後に日本で原発が稼働していないという前提でエネルギー政策を構築する必要がある。原発からは基本的にExit(撤退)すべきであるが、そのスピードに関しては、経済への影響を最小限に抑える必要がある。
・ 原発は、「リアリティ・リスク・倫理」で評価し、脱原発依存をどう具体化するかが重要である。脱原発の期限とペースは、「市場」(事故リスクを織り込んだ保険料設定等)と「民主主義」(国民投票等)で決めるべきである。
(原子力オプションの重要性)
・ 資源小国の日本では、エネルギーの選択肢を安易に放棄すべきでないが、バックエンド問題を解決する見通しが立たないのであれば、原子力は2050年ぐらいまでの過渡的なエネルギーにとどまるのではないか。
・ 「多重防御」への信頼が喪失し、原子力政策は抜本的見直しが必要である。しかしそれでも、国際的核管理及び原子力の平和的制御における国際的責任として原子力に関する技術基盤と専門人材を保持すべき。「火を使うサル」として進化した人類が「原子核の操作」に踏み込み、「パンドラの箱」を開いたことを自省しつつ、責任ある制御に向かう文明史的自覚を持って、戦略的判断として原子力を一定比重維持すべきである。
・ 技術的対策や制度的安全基盤を進めることにより、原子力発電所の技術的リスクは十分低いレベルにまで制御可能であり、安全技術が進化していることへの認識が必要である。原子力の縮小による供給制約、我が国の国際的な影響力の低下、政策変更コスト等も考えるべきである。原子力を含む全ての選択肢を安易に手放さないことが重要であり、2030年以降も一定規模で原子力を維持すべきである。
・ 世界中で原発が増えていく中、その徹底した安全運用が不可欠である。アジア諸国における原発の安全性は日本の安全保障にも直結する。より安全な原発の実現に向け、さらに高度な技術開発を通じて世界に貢献すべき。原子力技術の維持・向上には現場の確保が重要であり、現状のオペレーション規模を縮小すれば技術の維持・開発は困難となる。年単位の備蓄が可能であるという安全保障上の価値を認識することも重要である。
・ 日本の科学技術力を駆使して安全性の格段に優れた原発技術を開発し、我が国の基幹エネルギーの一つとして位置付け、国際エネルギー問題の解決に貢献することが、ものづくり立国、科学技術立国として志向すべき方向である。
・ 地球温暖化対策の徹底には原発を含めないわけにはいかず、安全配慮を徹底した運転が必要である。
(原子力の位置づけの判断の視点)
・ 原子力のウェイトは、再生可能エネルギー、省エネルギー、化石燃料のクリーン利用をやりきった上で「引き算」で決めるべきである。
・ 原子力の位置付けは、安全性確保についての対策と、それを前提としたリスク評価(重大事故が有意な確率で起きるか否か)と国民の信頼回復にかかっている。
・ 原子力の中長期的な位置付けについては、安全規制等の進捗を見極めるべきであり、性急にどちらかの結論を出す必要はない。
(2)核燃料サイクル政策及び放射性廃棄物処分について
(核燃料サイクル政策)
・ 六ケ所村の再処理工場の建設コストは計画変更を繰り返して大きく膨れ上がり、工場の稼働もトラブルにより延期を繰り返し、現在も稼働していない。高速増殖炉の「もんじゅ」も事故を繰り返し、長期の運転休止となっている。さらに、強い放射線を出し、数万年以上に渡り人間の生活環境から遠ざけて管理する必要がある高レベル放射性廃棄物の最終処分地も決まっていない。こうした現実を踏まえ、核燃料サイクル政策は見直し、直接処分の方法を検討すべきである。
・ 核燃料サイクル政策は破綻を直視し、放棄すべきである。尐なくとも、使用済燃料処分の問題が解決するまで、核燃料サイクル政策はモラトリアムとし、前に進めないという合意が必要である。
・ 高速増殖炉により、ウラン資源の有効活用や高レベル放射性廃棄物の量や廃棄物の毒性の減尐に貢献することが可能であり、将来のオプションとして、高速増殖炉の開発は継続すべきである。核燃料サイクル、高速増殖炉等の技術に取り組んでいる国は限定的(米、仏、露、インド、韓国、中国)であり、技術開発の「場」が無くなると、世界的な技術の停滞に直結する。
・ 非核兵器保有国でありながら商用核燃料サイクル施設の保有を国際的に認められている唯一の国である我が国の有様が、核不拡散や核セキュリティに大きく貢献する。
(放射性廃棄物処理)
・ 最終処分場の選定は、政治的に現実性がないため、原子力発電のコストも確定できない。
・ 今の技術では、長期にわたって安全に放射能を封じ込めることは困難である。
・ 高レベル廃棄物の問題が未解決なのは何よりの問題。原子力発電を使えば必ず出てたまる危険な廃棄物を次の世代に送ることはしてはいけない。
・ 高レベル放射性廃棄物を含め、放射性廃棄物は安全に処分できる技術と方法がある。
・ 仮に原発を止めても既に存在する使用済燃料や原子炉の最終処分は不可避であり、国家として責任ある対応が必要である。フィンランド、スウェーデン等の取組に学び、国民的議論を行って解決すべきである。
・ 地層処分の道筋については、産業界のみならず、エネルギーを使う我々国民、地域社会が真摯に学び、考える必要がある。
(3)原子力発電等に関する国と事業者の役割分担について
・ 原子力発電に伴う社会的費用を事業者に負担させるべきであり、事業者には民間の無限責任の賠償保険への加入(最低でも10兆円規模)を義務付けるべきである。
・ 国が直接保険を行うことが正当化されるのは、国の存立に絶対必要な場合(国防上の理由)であり、仮に原子力発電所の保有がそれに該当するとしても、これだけ多くの原発は不要ではないか。
・ 米国やフランス等の多くの国が民間の賠償に上限を設けていることが示すとおり、エネルギー安定供給には、市場の失敗に備えて国家が責任を負うべきである。
・ 原子力事故のように大数の法則に乗らない「極めて稀な事象で巨大な損害」をもたらす対象に対しては、実社会において損害保険は成立していない。
・ 脱原発に向かう間、人的資本や物的資本の蓄積の停滞が懸念されるので、国民の安全を確保するためにも、国の関与を強めることが不可欠ではないか。
・ 世界で最も安全で信頼される軽水炉に向けての研究開発、運転、保守の技術開発に国を挙げて取り組むため、国家主導の統合的・総合的な運営体制も必要ではないか。
・ 原子力技術者の分散、緊急時対応能力の欠如、「自社内」での経済性追求の弊害、経営リスク限界を超えた賠償責任発生等の可能性があるため、国家の責任の下で、国際的にも開かれた形での国策統合会社に移行すべきではないか。
・ 使用済燃料の処分施設は破産の可能性のある私企業では管理できないのではないか。事業者が原発事業の採否の判断を、潜在的な政府による救済への期待無しにできるよう、政府が明確に料金を定めて徴収すべきである。
・ かつての国策会社の失敗の経験を踏まえ、国の関与の強化には慎重であるべき。

7.電力システムについて
(1)電力システム改革の方向性について
(分散型システム)
・ 震災により、大規模集中型電源への依存にはリスクがあり、多様な電源(再生可能エネルギー、自家発、コジェネ等)を活用することが安全、安定に資することが明らかとなった。分散型電源の活用を促し、需要家の力を引き出すためにも、スマートグリッド等のITを活用した自律分散開放型のシステムの実現が重要であり、これにより新たなサービスが展開される。
・ 電力システムの改革は、民間活力再生、系統運用能力維持、分散型需給網拡充が基本である。
・ スマートグリッドの導入により、分散型システムは、常時には系統連系として、非常時には独立分散型として、エネルギー供給の確保に資する。
・ 原子力代替のかなめは分散型ネットワークとスマート化(ICTとエネルギーの一体化)である。
・ 分散型電源が公平に扱われるよう、送配電システムの中立性を強化すべきである。
・ 分散型電源である再生可能エネルギーの拡大を図るため、その供給変動性を広域的に吸収できるようにするための制度整備が必要である。
(需要家の選択肢の拡大)
・ 電源について、自主的に選択することを望む国民が増えていることを踏まえ、一般消費者が多様な選択肢(供給会社、電源、料金、サービス等)から電気を選べるよう自由化を進めるべきである。
・ 「マイ・ベスト・ミックス・電気」を選べて、それに電気料金を支払う方法が可能となれば消費者がよりエネルギーに関心を寄せることになる。
・ 自由化すれば問題が解決するわけでなく、抜本的な電気事業制度改革を伴わなければ、規制なき独占となり、現状より更に悪くなる恐れがある。
(安定供給と効率性の確保)
・ 安定供給とリスク分散のため、電力の供給区域間の連系線の強化等により広域融通を強化することが喫緊の課題である。
・ 需要を与件として供給能力を確保するシステムのリスクが明らかになった。市場メカニズムを活用した需給調整機能を高める必要がある。
・ 産業界にとっては、国際競争力ある価格で中長期的に電力が安定供給されることが不可欠である。
(2)電気事業体制のあり方について
・ 発電のスケールメリット低下、分散型エネルギーシステムの発展、IT技術の発展などの技術進歩により、地域独占の妥当性は大きく低下している。「市場の失敗」より「政府の失敗(規制の失敗)」が大きくなっている。
・ 垂直統合企業であるがゆえに、発電所の集中立地、連系線投資の遅れ、需給調整に必要な契約・配電設備の整備の遅れ等のシステムの脆弱性を生じた可能性があり、「垂直統合であれば安定性が維持される」という考えは、本当に根拠があるのか検証が必要である。
・ 電力市場の自由化により、消費者による再生可能電源の購入や事業者による市場への参入等、責任ある支持表明の機会が与えられるべきである。
・ 送電線網の利用料金の適正化を図り、新規参入者も公平な条件で利用できるように、発送電の分離を進めるべきである。
・ ベストミックスを含め望ましいエネルギー政策を策定するためには、発送電の機能分離や原子力事業の分離など電力市場改革が不可欠である。
・ 原発のウェイトを増やすというこれまでの政策が、既存の事業者を保護し、新規の発電事業者の参入のハードルを高めていたのではないか。
・ 新自由主義思想の安易な導入は回避すべきであり、電力会社は「道州制」を前倒しする形で経営され、広域地域産業の活性化に地場密着で貢献している現実を踏まえるべきである。
・ 性急な発送電分離や自由化は、電力供給の不安定化や電力取引のマネーゲーム化を助長する恐れがあり、先行した国の状況を分析する必要がある。

8.国際的なエネルギーネットワークについて
・ 地域全体で様々な電源をバランスよく活用し、リスク分散を図っているEUを参考とし、日韓やアジア大の電力ネットワークの構築を中長期的な視点から国家戦略に据えるべきである。
・ リスク分散のため、海外との天然ガスのパイプライン網の接続についても、中長期的な選択肢として考えるべきである。
・ アジア内の国際電力ネットワーク構築も視野に入れるべきであるが、自給率の向上が前提である。
・ 中長期的な視点から選択肢を広げることは非常に重要である。ガスの供給に係るロシアとの繋がりも強化すべきであり、これをテコに国際関係をさらに強化し、統合していく可能性もある。
・ 1950年代から共同体への歩みを進めてきたEUとは異なり、我が国と近隣国との間では経済的な基礎条件における隔たり(価格・為替政策等)や地政学的な不安定さもあることから、短中期的な実現は難しいのではないか。

9.技術革新の重要性について
・ エネルギー転換の鍵は技術力であり、政府支援と官民協力の強化により新しい技術を加速的に開発・普及することが重要である。これにより、アジアの健全な経済発展に貢献し、日本の産業競争力の強化にも資するべきである。
・ 我が国は予算の思い切った傾斜配分により、国家を挙げてエネルギー関連の革新的研究開発テーマ(蓄電、省エネ、送電、スマートコミュニティ、再生可能エネルギー、原子力安全等)に取り組むべきである。
・ 日本最善技術の米中印への横展開で我が国の排出量に匹敵する温室効果ガスの削減が可能である。


posted by 忘れん坊 at 15:36| Comment(0) | 原発関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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